相次ぐ個人情報漏洩と不正アクセス。被害を防ぐために今、私たちができる対策とは?

最近、日本では企業を狙ったサイバー攻撃や不正アクセスが相次ぎ、それに伴う個人情報の漏洩が大きな問題になっています。普段利用しているオンラインサービスから自分のメールアドレスや氏名、住所などが漏洩する事件が多発していますが、これは決して他人事ではありません。漏洩した情報は、フィッシング詐欺や不正ログイン、なりすましなどの二次被害に悪用されるおそれもあり、大変危険です。この記事では、最近相次いでいる個人情報漏洩の背景や事件例、サイバー犯罪者に狙われやすい情報、漏洩後に起こりうる被害、そして個人が日頃からできるセキュリティ対策について解説します。

日本で相次ぐサイバー攻撃と個人情報漏洩

日本国内ではここ最近、毎日のように個人情報漏洩のニュースが報じられています。特に2026年10月に入ってからは、不正アクセスを受けた企業の被害公表が相次ぎ、幅広い業界で大量の個人情報が流出、または流出した可能性が明らかになっています。こうした状況を受け、国家サイバー統括室をはじめ、警察庁、個人情報保護委員会、総務省、経済産業省、金融庁、IPAなど複数の関係機関も相次いで注意喚起を出しており、政府全体で警戒を強めるほど深刻な状況となっています。被害の原因や侵入経路は事案によって異なり、マルウェア感染や盗まれた認証情報、システムの脆弱性の悪用など、さまざまな手口が確認されています。侵入後に顧客情報へアクセスされ、大量のデータが持ち出されるケースもあります。以下は、ここ最近ニュースになった主な不正アクセスによる情報漏洩の事例です。

スカイチケット

2026年10月2日から4日にかけて、航空券予約サイト「スカイチケット」では、不正アクセスにより約1464万件の顧客情報が流出、または流出したおそれがあると公表しました。漏洩した可能性がある情報は、顧客の氏名、生年月日、メールアドレス、電話番号、住所などで、一部にはパスワードを変換して保存したデータも含まれていました。

ブックオフ

中古本やゲーム、CD、衣類などを扱うリユースショップ「BOOKOFF」を展開するブックオフでは、2026年10月4日から6日にかけて子会社の会員管理システムが不正アクセスを受け、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日など最大約643万件の会員情報が流出した可能性があると発表しました。

ローソン

全国でコンビニエンスストアを展開するローソンでは、2026年9月12日から17日にかけて、「ローソンID」などへの不正アクセスにより、約215万件の個人情報が漏洩したと発表しました。漏洩したのは、メールアドレス、氏名のほか、登録状況によっては電話番号や住所なども含まれています。

JR東日本

2026年10月7日、JR東日本が利用する外部クラウドサービスがランサムウェア攻撃を受け、「えきねっと」や「大人の休日倶楽部」に関連する約206万件の利用者情報が流出した可能性があると発表しました。主にメールアドレスが対象で、「大人の休日倶楽部」では一部に会員番号、生年月日、クレジットカードの有効期限なども含まれていました。なお、氏名やクレジットカード番号については、現時点で流出の可能性はないとしています。

第一興商

カラオケ店「ビッグエコー」や業務用カラオケ「DAM」を展開する第一興商では、2026年10月1日から2日にかけて、約872万件の利用者情報が漏洩したおそれがあると公表しました。漏洩した可能性があるのは、氏名、メールアドレス、電話番号など。委託先企業の従業員端末がマルウェアに感染したことが原因とされています。現時点では、実際の漏洩や不正利用は確認されていないとしています。

タイムズカー

2026年9月25日、カーシェアリングサービス「タイムズカー」を運営するパーク24が社内Webシステムへの不正アクセスを検知し、その後の調査で約660万件の会員情報が漏洩したと発表しました。漏洩した情報には氏名や住所、電話番号などのほか、約160万件の運転免許証など本人確認書類の画像情報も含まれていました。漏洩発覚後、パーク24は顧客の本人確認書類の画像を会員登録完了後は保有しない方針へ変更すると発表しました。

ヤマト運輸

2026年9月28日、ヤマト運輸では「クロネコ代金後払いサービス」への不正アクセスが確認され、利用者の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、商品明細など約526万件と、約5万件のお届け先情報が不正に持ち出されたことが判明しました。現時点では、この情報が不正利用されたことによる二次被害は確認されていないとしています。

Eストアー「ショップサーブ」

2026年5月21日から8月1日にかけて、ECサイト運営支援サービス「ショップサーブ」でアプリケーションの脆弱性を悪用した不正アクセスが発生し、約2335万6000人分の情報が漏洩しました。漏洩したのは利用者の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどで、多数のECサイト利用者に影響が広がりました。

Web制作サービス「Studio」

2026年10月16日、Webサイト制作サービス「Studio」が利用するクラウド環境への不正アクセスにより、サービス上で管理されていた情報が外部から取得可能な状態になっていたことが判明し、情報流出の可能性が公表されました。同サービスを利用する複数の企業や自治体にも影響が広がっており、LUUPではWebフォームから送信された約2万1368件、ラクスルでは問い合わせや資料請求などのフォームに入力された6412件の個人情報が漏洩した可能性があります。外部のクラウドサービスへの攻撃が、複数の企業や利用者へ波及した事例です。

ここまで紹介した事例を見ると、不正アクセスの原因や被害の広がり方は一様ではありません。 認証情報の悪用やシステムの脆弱性、マルウェア感染、外部クラウドサービスへの攻撃など、さまざまな経路から被害が発生しており、漏洩する情報もメールアドレスだけでなく、住所や電話番号、本人確認書類の画像など多岐にわたります。

この他にも、同時期にソフトバンク子会社へのサイバー攻撃も報じられ、同社のサービスを利用する企業や自治体にも影響が広がるなど、企業向けシステムへの攻撃も相次いでいます。こうした状況からも、今回の一連の被害が特定の業界だけに限った問題ではないことが分かります。

企業の情報漏洩が私たちにも無関係ではない理由

企業がサイバー攻撃を受けて漏洩した個人情報は、フィッシング詐欺や不正ログイン、なりすましなど別の犯罪に悪用される可能性があります。たとえ、漏洩したのがメールアドレスや電話番号だけだったとしても、他の情報と組み合わせることで、より本物らしいフィッシングメールやSMSを送ることができてしまうのです。

例えば、自分が普段利用しているオンラインサービス名や氏名が入ったメールが届けば、普通の迷惑メールよりも信用してしまう可能性は高くなります。また、複数のオンラインサービスで同じIDやパスワードを使い回している場合は、1つのサービスから漏れた情報を使って、別の通販サイトやSNSなどへ不正ログインされてしまうおそれがあります。

さらには、氏名、住所、生年月日、電話番号など複数の情報が揃ってしまうと、本人になりすまして各種手続きを行なったり、金融機関や通信会社を装った詐欺などに悪用される可能性もあります。このように、企業から個人情報が漏洩すると、その後さらに別のサイバー犯罪へとつながるおそれがあるため、決して他人事ではありません。

サイバー犯罪者に狙われやすい個人情報

個人情報といっても、その種類によって悪用される方法や被害の大きさは異なります。特にメールアドレスや電話番号、ログイン情報、金融情報、本人確認に使われる情報などは、サイバー犯罪に悪用されやすいため注意が必要です。

まず、メールアドレスや電話番号が流出した場合は、フィッシングメールやSMSの送信先として利用される可能性があります。さらに氏名や利用しているサービスなどの情報と組み合わせることで、あたかも実在の企業から届いたように見えるメッセージを作ることもできます。

次に氏名や住所、生年月日などは、主に本人になりすますための材料として悪用されるおそれがあります。また、IDやパスワードなどのログイン情報が漏洩した場合は、アカウントへの不正ログインや乗っ取りにつながる可能性があります。特に同じパスワードを複数のサービスで使い回している場合は、1つのサービスから漏れた情報をきっかけに、別のサービスまで被害が広がる可能性があり、大変危険です。

サイバー犯罪者が個人情報を金銭目的で悪用するケースも多く、クレジットカード番号や銀行口座に関する情報は、不正利用などの金銭的被害に直接つながるおそれがあります。

加えて、パスポートや運転免許証、マイナンバーなど本人確認に使用される情報も狙われることがあります。こうした情報は、銀行口座の開設や携帯電話の契約など、本人確認を必要とする手続きで悪用されるおそれがあります。

情報漏洩に備えて個人ができる対策

企業へのサイバー攻撃や情報漏洩は、各オンラインサービスの利用者側で完全に防ぐことは難しいです。しかし、普段からアカウントや個人情報の管理を見直しておくことで、情報が漏洩した際の被害を最小限に抑えることはできます。また、実際に自分の情報が漏洩したことが分かった場合は、できるだけ早く対応することが重要です。以下では、個人ができる対策をいくつか紹介します。

パスワードの使い回しをやめ、多要素認証を設定する

複数のオンラインサービスで同じIDやパスワードを使い回していると、1つのサービスからログイン情報が漏洩した場合、別の通販サイトやSNS、メールなどに不正ログインされる危険があります。情報漏洩後の不正ログインなどによる被害を防ぐためには、サービスごとに異なるパスワードを設定し、二要素認証や多要素認証を利用できる場合は有効にしておきましょう。特にメールや金融機関のオンラインサービスなど、重要な個人情報を扱うアカウントでは設定しておくことをおすすめします。

使用していないオンラインアカウントを整理する

登録したものの、何年も利用していない通販サイトや会員サービスなどは誰にでもあるでしょう。多くの場合、サイト上にはメールアドレスや電話番号、住所といった個人情報が残ったままになっています。利用しているアカウントが多ければ、それだけ自分の個人情報が保管されている場所も増えるため、定期的に整理することが大切です。マカフィー+のオンラインアカウントクリーンアップ(Online Account Cleanup)を活用すれば、自身のオンラインアカウントを確認し、不要なアカウントの整理に役立てることができます。今後使う予定がないサービスは退会するなど、オンライン上に残る個人情報を減らしておくことも、情報漏洩への備えにつながります。

自分の個人情報が流出していないか確認する

企業の情報漏洩そのものを利用者が完全に防ぐことは難しいですが、自分の情報が流出しているかどうかを確認することも大切です。早い段階で流出に気づくことができれば、パスワード変更など、被害を広げないための対応を取ることができます。マカフィー+の個人情報モニタリング(Identity Monitoring)機能では、オンライン上で自分のメールアドレスなどの個人情報が流出していないかを確認できます。情報漏洩が相次いでいる今だからこそ、自分の情報の状況を定期的に確認する習慣をつけることが重要なセキュリティ対策の一つといえます。

情報漏洩が発覚したら企業の公式発表を確認する

普段、利用しているオンラインサービスを運営する企業が情報漏洩を発表した場合は、まず公式サイトなどで自分が対象になっているか、どのような情報が漏洩した可能性があるのかを確認しましょう。企業から案内メールが届いた場合でも、メール内のリンクからではなく、公式サイトや公式アプリから情報を確認するようにしましょう。もし、IDやパスワードが漏洩した可能性がある場合は、該当するサービスのパスワードを速やかに変更することが先決です。加えて、同じパスワードを他のサービスでも使用している場合は、そちらも併せて変更しましょう。その際は、英大文字・小文字、数字、記号を組み合わせ、サービスごとに異なる推測されにくいパスワードを設定することが重要です。

不審なメールやSMS、金融取引に注意する

情報漏洩が発覚した後は、その企業を装ったフィッシングメールやSMSが届く可能性があります。「情報漏洩に伴う本人確認」や「パスワードを再設定してください」などと書かれていても、安易にリンクを開いたり、個人情報を入力したりしないよう注意しましょう。また、クレジットカード情報や銀行口座に関する情報が漏洩した可能性がある場合は、利用明細や口座の入出金履歴をこまめに確認してください。身に覚えのない利用を見つけた場合は、早めにカード会社や金融機関へ連絡することが重要です。

情報漏洩が相次ぐ今こそ、自分の情報を見直そう

ここまで紹介してきたように、最近の日本では多くの有名企業で不正アクセスや個人情報漏洩が相次いでいます。普段利用している大手企業のサービスだからといって、必ずしも安全とは言い切れない時代になっています。企業へのサイバー攻撃そのものを、利用者個人が止めることはできません。しかし、パスワードを使い回さない、ログインの際に多要素認証を設定する、不審なメールやSMSに注意する、使っていないオンラインアカウントを整理するなど、被害を広げないためにできることはあります。

また、自分の個人情報が流出していないか定期的に確認しておくことも大切です。マカフィー+のような総合セキュリティサービスを活用することで、普段から自分の個人情報がどのサービスに登録されているのかを把握し、不要な情報を減らしておくことが、これからの情報漏洩対策ではさらに重要になります。個人情報は漏洩し、悪用されてからでは遅いため、今のうちから今回紹介した対策を実行し、日頃から自分の情報を守る意識を持つようにしましょう。

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