SNSなどで闇バイトの見分け方と特殊詐欺から身を守る方法

闇バイトは、日本国内で毎日のように報道されており、現代において深刻な社会問題です。犯罪者たちは、主に若者や貧困層をターゲットに高額報酬が得られるとしてSNSや求人サイトで闇バイトの募集をかけて犯罪に加担させます。巻き込まれた被害者達は、自分の意志に関係なく犯罪の実行を強制され、人によっては海外などの拠点で監禁されるなどし、インターネットを使ったなりすまし詐欺などのオンライン犯罪に従事させられます。一度、闇バイトに応募し、参加してしまうとなかなか抜け出すことが難しく、たとえやめられたとしてもデジタルタトゥーは残るため、その後の人生に悪影響を及ぼしかねません。この記事では、闇バイトに関する詳細を説明するとともに、闇バイトに巻き込まれたり、被害に遭わないためには普段からどのような対策を講じておく必要があるのかについて解説します。

闇バイトとは?

最近、日本では「特殊詐欺」や「闇バイト」という言葉が頻繁にニュースで取りあげられていることをご存じでしょうか?闇バイトで募集した人々を利用した特殊詐欺などの犯罪が急増しており、深刻な社会問題となっています。警察庁の「令和6年12月末の特殊詐欺認知・検挙状況等について」によると、令和6年(2024年)の特殊詐欺の認知件数は、前年よりも1949件(前年比+10.2%)多い20987件と過去最多を更新しました。同様に被害額も721.5億円と前年よりも269億円(前年比+59.4%)も多い結果からもわかる通り、私達はこれらの犯罪から身を守るための対策が急務といえます。

闇バイトとは、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSをはじめ、インターネット掲示板や求人サイトなどで「高額報酬」や「簡単な仕事」、「ホワイト案件」といった文言を使って募集し、応募してきた人々を特殊詐欺や強盗の実行犯などの犯罪に加担させる危険な仕事のことで、コロナ禍で多くの人々が困窮していた2021〜2022年頃から活発化しはじめました。

警察庁は、2023年7月に「SNSを通じて募集する闇バイトなど緩やかな結びつきで離合集散を繰り返す集団」のことを匿名・流動型犯罪グループと定義し、現在では一般的に「匿流」、または「トクリュウ」と呼ばれています。2021〜2024年までの3年間で既に1万人以上が検挙されていますが、闇バイトで集まるのは主に学生などの若者が多い傾向があります。主犯格は、決して自分たちの手は汚さずに、大人としてまだ未熟である若者達を騙して実行犯として「使い捨て」することで、警察の捜査が犯罪の元締めである主犯格にまで及ばないようにする狙いがあります。

最近は騙されて海外で従事させられるケースが相次いでいる

最近は日本での厳しい取り締まりを逃れるために活動拠点を海外に置くケースが目立ちます。タイやフィリピン、カンボジアなどの東南アジア諸国には、トクリュウの拠点があることがわかっています。

例えば、カンボジアは、2017年頃から南部のシアヌークビルにカジノ施設やホテルなどを建設するために中国から巨額投資が行なわれたのをきっかけに多くの中国人出稼ぎ労働者が渡航し、中国で禁止されているオンラインカジノを使った犯罪が横行しました。その後、2020年にカンボジア政府がオンラインカジノを禁止したものの、今度は中国人や日本人による特殊詐欺の拠点となりました。闇バイトで集められた日本人は、高額報酬などを餌に集められて現地へ渡航し、逃げ出したり、周囲と連絡をとらせないためにパスポートとスマートフォンを没収されて監禁され、オンライン詐欺のノルマを強要されています。カンボジアでは、これまで何度か日本人特殊詐欺グループが摘発され、闇バイトで集められた複数の日本人が拘束されています。その後、カンボジアでの取り締まりが強化されたため、最近は隣国であるラオスなどに移ったトクリュウの拠点も多く、同様の手口で特殊詐欺活動が行なわれているといわれています。

そして、2025年に入って今度はミャンマーが注目されるようになり、多くの外国人が騙されて強制的にオンライン犯罪に従事させられていることがわかりました。その中には、日本人の高校生もいることが確認され、タイ警察によって無事に保護されました。これらのミャンマーでの大規模な特殊詐欺グループによる事件のほとんどは、闇バイトやオンラインゲームなどによって被害者に接触し、タイで「特技を生かせる仕事がある」、「高収入の仕事がある」と斡旋し、パスポートの取得と渡航を促され、タイ国境から密入国でミャンマー側へ渡らせて、かけ子と呼ばれる電話した相手を騙す詐欺行為を強要されていました。このような事件は、氷山の一角であると推測され、今も私達の知らないところで日本人をはじめ、多くの外国人が強制的に特殊詐欺のために利用されています。

日本で闇バイトが横行する背景

闇バイトを使った犯罪の特徴としては、犯罪の実行役を主に学生などの若者をターゲットにしている点です。通常、大学生や専門学生などは、仕送りとアルバイトで生計を立てる場合が多いですが、当時は新型コロナウイルスパンデミックの影響で、飲食系をはじめとするアルバイトが壊滅的に減ってしまい、働き口が少なくなった時期でした。そこで、リクルーターと呼ばれる闇バイトを募集する犯罪者は、困窮している学生達に目をつけて、SNS上の偽のアルバイト募集や広告などで高額報酬を餌に誘い、身分証明書などの個人情報を提出させて脅し、詐欺や窃盗、強盗など様々な犯罪を強要しました。

加えて、学生に限らず、最近は非正規雇用が増え、貧困層などお金に苦労している人々が増えていることも要因といえます。さらには、仕事や学校など、日々のストレスや不安によって、ギャンブルやオンラインゲーム、押し活など自分の趣味に対して過剰に浪費して自ら貧困になってしまう人が増えています。結果的に金銭面で余裕がなくなって追い込まれてしまい、闇バイトに応募してしまうケースも少なくありません。

また、近年の急速な情報化社会の進化によって、インターネット上の情報の良し悪しを理解できない人が増えていることも理由の一つです。ご存じの通り、現代のSNSをはじめ、検索サイトなどは、自分の検索や閲覧履歴によってフィルターがかけられ、自分が興味のある情報のみが表示される場合が多く、これが現代人の判断力を鈍らせているといえます。オンライン上であまりにも多くの情報が飛び交い、多くの人が情報源をインターネットに頼り過ぎていることで情報の信ぴょう性に対する判断力が鈍り、闇バイトが横行しているといえます。

闇バイトの種類

闇バイトというと、電話で詐欺を働くかけ子などを思い浮かべる人も多いと思いますが、実は様々な種類の犯罪があります。以下では、闇バイトの種類をいくつか紹介します。

かけ子・受け子・出し子

オレオレ詐欺をはじめ、架空請求詐欺などを行なうために闇バイトで実行部隊となる「かけ子(掛け子)」、「受け子」、「出し子」を募集するケースが多いです。かけ子は、ターゲットとなる人物に電話をかけて騙す役、受け子は実際にターゲットと会って現金やキャッシュカードなどを受け取る役、出し子は騙し取ったキャッシュカードなどを使って現金を引き出す役を担っています。

強盗

個人宅やお店、銀行などに押し入って脅迫し、現金や金品を強奪する強盗の実行役にも闇バイトが使用されています。この犯罪は、闇バイトで集められた人々が実行する場合が多いため逮捕されやすい一方、指示した主犯格は捕まりにくいのが特徴です。もし、被害者に怪我させたり、殺した場合は「強盗殺人罪」などの重い罪に問われます。近年、トクリュウによる高齢者を狙った強盗が全国で多発しています。

口座売買

最近、犯罪で使用するために銀行の自分名義の通帳やキャッシュカードを売買する口座売買がSNSなどで募集されています。もちろん、口座の売買は犯罪でありますが、高額で取引されることもあって多くの人が巻き込まれています。もし、売買してしまった口座が犯罪に利用されてしまうと、自分の全ての口座が凍結されてしまうなど非常に危険です。

運び屋

運び屋は、犯罪に使用される通帳やスマートフォン、違法薬物などを指定の場所へ運ぶ闇バイトの一種です。簡単そうな仕事に思えますが、運ぶものの中身を知らなくても運んでしまうと犯罪になります。また、運び屋の募集に応募した際に先に保証金を請求される場合もありますが、保証金を支払ってしまうとその後連絡が取れなくなるというケースもあります。

闇バイトや特殊詐欺の対策とは?

これまで述べてきたように闇バイトや特殊詐欺はもはや世界中で起きている深刻な社会問題といえ、これらの犯罪にできるだけ関わらないことが賢明です。では、普段からどのような対策を講じておく必要があるのでしょうか。以下では、闇バイトの募集の見分け方と、特殊詐欺の被害に遭わないための対策をいくつか紹介します。

闇バイト募集の見分け方

「高額報酬」には要注意

世の中に楽して大金を稼げることを夢見ている人は一定数います。一般的に高額な報酬を受け取る仕事は、専門性がある仕事、または金額に相応しいリスクがあることがほとんどです。よって、高額報酬を謳う求人の場合は、闇バイトの可能性があるため、注意が必要です。

募集要項に使われている用語を注意深くチェックする

闇バイトなど偽の求人情報の特徴としては、仕事内容が曖昧で、「短期で高額報酬」、「ホワイト案件」、「即日現金渡します」などの単語が使われている傾向があります。また、「SNS運用」や「電話をかけるだけ」などの場合はオンライン詐欺、「運びの仕事」や「ドライバー」、「送迎」などの単語を使用している場合は運び屋の募集の可能性があります。また、最近話題となっている海外での闇バイト案件は、「パソコン入力や事務作業など専門性が低い簡単な作業」や「渡航費用や現地での滞在費は雇用主負担」と明記されており、非常に危険なので注意しましょう。

必要以上の個人情報を求めてくる

雇用側とのやりとりの中で、身分証明書など必要以上の個人情報を求められた場合は要注意です。犯罪者達は、相手の弱みに付け込むために相手の情報を握ろうとしており、報酬を受け取るためにといわれて個人情報を含む書類を提出すると、その情報を使って脅迫して特殊詐欺を強要させてきます。

日本語がおかしく、絵文字や顔文字を多用する

雇用側とやりとりする際に相手がおかしな日本語を使用したり、やけに対応の物腰が柔らかく、絵文字や顔文字を多用してくる場合は要注意です。犯罪者がこれらを多用してくる理由は主に若者の警戒心を取り除くためです。日本ではたとえ、アルバイトであっても基本的に絵文字や顔文字などは使用することはほとんどありません。

匿名性の高い通信アプリを使用する場合

もし、応募した求人でシグナルやテレグラムなど、匿名性の高い通信アプリを使用する場合は、闇バイトの可能性があります。犯罪者の多くは、警察からの追跡を逃れるために匿名性の高い通信アプリを使用する傾向があるため、これらの使用を促された場合は危険です。

特殊詐欺から身を守る方法

必ず家の鍵をかける

ひと昔前までは日本の地方であれば、自宅にいる場合は鍵をかけないままにしておくことはよくありましたが、現代ではそうもいきません。トクリュウによる強盗事件は、日本全国で発生しており、特に高齢者を狙っているため、自宅にいる、いないに関わらず必ず鍵はかけるようにしましょう。

外部の人間を家にあげない

特殊詐欺を行なう犯罪者は、訪問販売やガスやエアコンなどの点検などと謳って自宅に侵入を試みる傾向があります。たとえ、スーツを着ているなど信頼できそうな身なりをしていたとしても見知らぬ人を自宅に入れることは避けましょう。

むやみに自宅のWi-Fiのパスワードは教えない

もし、犯罪者に自宅のWi-FiのIDとパスワードを知られてしまうと、Wi-Fiに接続した各デバイスにマルウェアを送り込むことができるため、大変危険です。マルウェアに感染させて乗っ取り、デバイス内の個人情報などが盗まれたり、監視カメラやスマート家電を遠隔操作されてしまう可能性もあるため、自宅に訪問した外部の人にWi-FiのIDとパスワードを教えないようにしましょう。

不審な電話はすぐに切る

犯罪者は、オレオレ詐欺や架空請求詐欺などの詐欺を実行するために電話を不正に入手し、かけてくる場合があります。彼らは、電話の中で個人情報などを聞き出そうとしてくるため、怪しいと感じた場合はすぐに切るようにしましょう。

親が高齢者の場合は頻繁に連絡する

親や親戚が高齢の場合は、知らないうちに特殊詐欺の被害に遭っていたり、ターゲットにされている可能性があります。被害を未然に防ぐために高齢者の状況を把握するためにも定期的に連絡するようにし、加えて普段からご近所と連携できるようにしておきましょう。

個人情報を含む書類は要注意

犯罪者は、郵便受けやゴミ捨て場のゴミ袋を物色することで、郵便物や明細書からクレジットカード番号や銀行口座情報などの個人情報を盗みます。個人の金融情報などが表記されている書類は、シュレッターにかけるなどしてから捨てるようにしましょう。

セキュリティ対策ソフトを導入する

トクリュウを含む犯罪者は、物理的な接触に加えて、個人情報を盗むために電話やメール、SNSのメッセージなどオンライン上の様々な手段を使って接触してきます。しかし、お使いのデバイスに高性能なセキュリティ対策ソフトを導入することで安全性が高まります。特にマカフィーが提供しているマカフィー+は、危険なサイトを事前に感知するウェブ保護機能やハッカーの侵入をブロックするファイアウォールなど優れたセキュリティ機能を兼ね備えています。また、パスワード管理機能によって、推測されにくい複雑なパスワードを生成、管理できるのでより安全面が高まるでしょう。

まとめ

今回は、日本で話題となっている闇バイト募集の見分け方や特殊詐欺に巻き込まれないための対策について紹介してきました。インターネット上で若者を集め、高額報酬の代わりに犯罪を実行させる手口は、実は日本だけでなく、アメリカ、メキシコ、オランダやスウェーデンなど世界各国で頻繁に起こっており、世界的な問題となっています。海外で特に多いのは、10代の若者にコカインなどの薬物を港から運び出すいわゆる「運び屋」を担わせるケースです。巻き込まれる大半の人は、若者や生活困窮者であり、その数は経済状況が厳しくなるにつれて増える傾向があります。近年の日本も治安が悪化しており、海外の凶悪犯罪の事例も、もはや他人事とはいえません。また、一度犯罪に手を染めてしまうと、刑期を終えて社会復帰する際にインターネット上のデジタルタトゥーが障害になって、預貯金口座開設できない、就職などが困難になる可能性があります。日本では、2019年にNHKで同名のドラマが放送されるほど、デジタルタトゥーは深刻な社会問題の一つとして浮き彫りになっていますが、日本政府はこれに対する解決策を見いだせていません。

闇バイトを通じて、特殊詐欺などの犯罪に巻き込まれたり、被害に遭わないためにも普段からオンライン、オフライン問わず、セキュリティ対策を万全に実行しておくべきです。特にオンライン上では、場所を問わず様々なサイバー攻撃が日常的に行なわれ、その手口は時間とともにより巧妙化しているため、私達はより高度なセキュリティ対策が急務といえます。闇バイトや特殊詐欺と関わることなく、安全に生活するためには、まずこの記事で紹介したような闇バイトや特殊詐欺に関する基礎知識を身につけることが重要です。闇バイトに応募するとどんなに危険かを知り、見分け方を覚えることで今後巻き込まれる人が減ることを切に願います。

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