東京のような都市部に住む人々の多くは、実家への帰省や海外旅行など、長期休みの際には家を空けることが多くなってきています。また、長期休み以外にも仕事で1ヶ月の出張や地方で暮らす親など高齢者の介護、学生の場合は短期留学や国内外へのインターンなども最近は多いです。一定期間、自宅を不在にしていると空き巣など物理的な犯罪の被害に遭ってしまったり、サイバー攻撃のターゲットとなりやすいことがわかっています。これらサイバー犯罪などの被害を防ぐためには、どのような対策が必要なのでしょうか。今回は、長期で自宅を留守にする際のサイバー犯罪対策を紹介します。
日本人の生活スタイルと働き方の多様化
最近、長期で家を留守にする人が多いですが、それにはいくつか理由があります。まず、私達日本人の生活スタイルはここ数十年で大きく変化しているという点です。ここ20、30年ほど前までの日本は、世界でも1、2を争うほどの治安の良さで知られていました。自宅に家主が不在の場合は、近所の人が郵便物を預かったり、地方によっては玄関の鍵をかけないで外出するというのも珍しくありませんでした。昭和から平成のはじめ頃までの時代は、祖父母から孫まで複数の世代での同居が基本であり、毎日誰かしらが家にいるという状態が当たり前でした。さらには、高齢者が一人暮らししている場合も親戚や近所の人が定期的に様子をみてくれたり、親が仕事で遅くなる時は近所の人が子供の面倒を見てくれるような助け合いは、今ではもうほとんどないに等しいといえるでしょう。現在、日本国内の人口は、利便性や仕事の多さ、娯楽の充実度など様々な理由から都市部に集中しています。離婚率が高い上に結婚する人が減っているなどの理由から少子化が進行しており、結婚しても親世代と離れて暮らす核家族が非常に多いです。そうなると、地方で離れて暮らす高齢の両親や祖父母が入院した際や介護などの理由で定期的に故郷を訪れる機会が増えることは必須であり、その間は自宅を不在にしなければなりません。
また、日本国内で長期で家を留守にする人が多いもう一つの理由が働き方の多様化です。日本では、10年程前からこれまでの日本人の働きづめの働き方を変えようという声が上がっていましたが、なかなか改善にまで至るのは難しい状況でした。ところが、2019年末から数年間続いた新型コロナウイルスパンデミックによって、多くの人々が会社に出勤できなくなり、インターネットを活用したテレワークやリモートワークを余儀なくされたことでそれまでの働き方が大幅に変化しました。現在は、週の半分や月数回程度のオフィスに出社するような勤務形態も珍しくなく、なかには経費削減のためにオフィス自体を縮小する企業も多いです。加えて、地方でリモートワークをしながら働いたり、定期的に観光地など様々な土地を移動して暮らすノマドワーカーやワーケーション、都市部と地方にそれぞれ住まいを持ちながら行き来する2拠点生活を行なうなど、日本人の働き方が大きく変化しています。これらの人々の中でも拠点となる住まいを持たない人以外は、どうしても本来の自宅を不在にする期間が発生してしまいます。
加えて、最近の大学生は、海外への短期留学や国内外へのインターンなどが盛んになっており、実家暮らし以外の場合は賃貸契約を解約しない限り、自宅を不在にする期間が一定数出てきます。もちろん、例年通り、ゴールデンウィークや夏休み、シルバーウィーク、年末年始などの長期休みには多くの人が国内旅行や海外旅行に行ったり、実家へ帰省する人が多いのは今も昔も変わりません。さらに仕事によっては、1週間から数か月単位で出張する人も珍しくなく、その期間自宅を空けることになります。このような自宅を留守にしてしまう期間は空き巣などが懸念材料でしたが、最近はオンライン上にも危険は潜んでおり、不在時にサイバー犯罪の被害に遭う可能性が高まっています。
自宅不在時に想定されるサイバー犯罪と物理的な犯罪
これまでは、現在多くの日本人が自宅を不在にする傾向があることを紹介しました。以下では、自宅に不在時に起きる可能性のある物理的な犯罪とサイバー犯罪の主な例をまとめました。
個人情報の漏洩やデバイスが制御不能に
自宅のWi-Fiやデバイスの電源をつけた状態のまま留守にしていると、インターネットを通じてデバイスにマルウェアが侵入して感染してしまう可能性があります。マルウェアとは、悪意のあるソフトウェアのことでデバイスが感染するとデバイス内のデータが盗まれたり、最悪の場合は制御不能に陥って使用できなくなる危険があります。長期休みの期間に会社から支給された業務用パソコンの電源を切らずにマルウェアに感染した場合は、会社の機密データにアクセスされて漏洩してしまう可能性があり、大変危険です。また、被害が今年に入って急増しているのが証券口座乗っ取りです。これは自分の証券口座のIDやパスワードが流出してしまい、知らない間に証券口座が乗っ取られて、株を勝手に売買されてしまうという手口で、被害額はわずか4ヶ月間で3000億円以上にも及びます。
知らない間にサイバー犯罪の実行犯となる
自宅のWi-Fiやデバイスの電源を入れっぱなしにしていると、ボットと呼ばれる悪質なプログラムを使ってサイバー犯罪者に遠隔操作されて犯罪に荷担してしまう危険があります。例えば、DDos攻撃は遠隔操作された複数のデバイスから、ターゲットとなる特定のコンピュータへ大量の通信を送信して高負荷をかけることで処理不能となり、使用できなくなりますがこれらに使用される可能性が高いです。このように自分が知らない間にデバイスがサイバー犯罪者の意のままに操られてしまってDDos攻撃や犯行予告などに悪用されてサイバー犯罪の加害者となってしまうケースが後を絶ちません。
空き巣
日本では、古くから自宅不在時に起こる可能性があるのが空き巣です。最近はSNSでターゲットの動向を確認し、不在時に侵入して金品を盗むなどの事件が横行しています。また、闇バイトを通じて実行犯を募集するという組織ぐるみでの空き巣も増えています。これらの多くは、SNSの他にも事前に訪問営業などを装ってターゲットに接触します。そして、自宅内部の様子を確認するだけでなく、自宅のWi-Fiのパスワードを聞き出して監視カメラや自動ロックなどを不正操作して後日、不在時に犯行に及びます。
郵便物の盗難
近年、自宅不在時に郵便物や郵便受けの中にある封筒や書類などが盗まれるケースが相次いでいます。特に郵便物は、個人の氏名や住所など個人情報を含んでおり、それらの情報をもとにオンラインバンキングやSNS、スマート家電などのパスワードが予測できる可能性が高いため、犯罪者のターゲットとなりやすいです。もし、自宅の防犯装置や玄関の暗証番号を入手してしまうと監視カメラの電源を切って空き巣に及ぶ危険があります。その他にも架空請求や還付金などの郵便物を装った詐欺事件が多発しています。さらに最近は、在宅中、不在に関係なく、個人情報に繋がる情報を見つけるためにゴミ捨て場に捨てたゴミを漁って探す「ゴミ漁り」を行なう犯罪者も少なくありません。
自宅不在時のセキュリティ対策
上記を見る限り、最近の日本人は自宅を留守にする機会が増えており、自宅不在時はサイバー犯罪者を含む犯罪者達のターゲットになりやすいことがわかりました。こちらでは、自宅を留守にする際に犯罪の被害に遭わないためのセキュリティ対策を紹介します。
Wi-Fiやデバイスの電源は切る
自宅で使用しているWi-Fiやデバイスの電源をつけっぱなしにしているとインターネットを通じてサイバー犯罪者に侵入されて個人情報が盗まれたり、遠隔操作される危険があります。1泊など短期旅行の場合でも、必ず電源を切って、できればコンセントを抜いてから出かけるようにしましょう。電源をきることでこれらの犯罪に巻き込まれることを防ぐことができます。
スマート家電に強力なパスワードもしくは多要素認証を導入する
自宅不在は、サイバー犯罪者にスマート家電を外部から遠隔操作されてしまうと、防犯カメラを止められたり、暗証番号を知られてしまってオートロックを開けられる危険があります。被害を未然に防ぐためにも各スマート家電やWi-Fiには強力なパスワード、もしくは多要素認証を導入することを推奨します。マカフィー社のマカフィー+内にあるパスワード管理機能を使用することで複雑なパスワードを自動生成することが可能です。この機能は、構築したパスワードを自動保存してくれるため、複雑なパスワードを覚えておく手間が省けます。また、多要素認証は複製が難しい生体認証を取り入れているため、最も安全性が高まります。お使いの機器やサービスの認証方法に多要素認証が導入されている場合は、できるだけ導入することでよりセキュリティを高めることができます。
フリーWi-Fiを使用する際はVPNに接続する
旅行や出張など外出先でインターネットを利用したい場合、カフェや駅などのフリーWi-Fiを使用することが多いですがこれには注意が必要です。フリーWi-Fiは、セキュリティ面が脆弱なため、サイバー犯罪者が罠を仕掛けていることが多く、使用することで通信内容が漏洩してしまったり、自宅のデバイスへ侵入されてしまう危険があります。フリーWi-Fi使用したい場合は、VPN(仮想プライベートネットワーク)に接続することで通信内容を暗号化することができ、漏洩を防ぎます。
不審なメールは開かない
現在、大手企業を騙ったフィッシングメールが多発しています。たとえ、送り主が大手企業の場合でも普段から見に覚えのない不審なメールは開かないことが賢明です。もし、開いたり、添付されたファイルやURLをクリックしてしまうとデバイスがマルウェアに感染し、自分の知らないうちにデバイス内の情報が漏洩してしまう危険があります。
新聞など定期購読しているものはストップする
長期で自宅を留守にして郵便受けに郵便物が溜まっていると、第三者に不在なことが知られてしまい、空き巣などの被害に遭う可能性が高まります。長期で自宅を留守にする場合は、新聞や雑誌など定期購読している紙媒体はストップするなどし、犯罪者に不在ということを見抜かれないよう心がけましょう。
定期的に照明器具をオンにする
自宅に不在だと悟られないためにも各スマート家電を遠隔操作することが大事です。特に定期的に照明器具をオンにすることで在宅中であることを装うことで、空き巣の侵入を防ぐことができます。また、自宅の外にセンサーライトなどを設置して人の気配を感じ取った場合はスマホに通知が来るなど設定しておくこともセキュリティ対策といえます。
セキュリティ対策ソフトを利用する
普段からお使いのデバイスに優れたセキュリティ対策ソフトを導入することで、自宅不在時でも外出先でも安全性を確保することができます。上記でも紹介したマカフィー+は、オンライン上のセキュリティを包括的に保護することができる機能を複数兼ね備えています。例えば、ウェブ保護機能は各ウェブサイトの安全性を事前に把握することができたり、マカフィー詐欺SMS検知機能はSMS内の詐欺リンクを検知し、誤ってクリックしてしまった場合でもブロックしてくれます。なお、マカフィーが長年培ってきた実績豊富なウイルス対策は台数無制限で提供しています。
まとめ
今回は、自宅を長期間留守にする場合のセキュリティ対策について解説してきました。現代の日本人は都市部に暮らす人が増えていることもあって、親の介護や法事などで地方を訪れる機会が増えています。また、働き方の多様化によって複数拠点を持つ暮らし方を実践している人も少なくなく、従来の旅行や出張に加えて、定期的に自宅を留守にしがちといえます。このように自宅を留守にする理由は人ぞれぞれですが、空き巣や郵便物の盗難、ゴミ漁りなど物理的な犯罪に加えて、最近はオンライン上のサイバー犯罪の被害に遭うことも珍しくなくなっています。特にサイバー犯罪者達は、お使いのデバイスや郵便物などを通してあなたの個人情報やログイン情報を常に狙っています。この記事で紹介した物理的な犯罪とサイバー犯罪の被害に遭わないためにも普段から基本的なセキュリティ対策はもちろんのこと、自宅を不在にする際はWi-Fiやデバイスの電源を切ったり、スマート家電の不正操作を防ぐための対策が必要不可欠といえます。さらには、マカフィー+のような優れたセキュリティ対策ソフトをお使いのデバイスに導入することでより安全性は高まります。個人情報や機密情報は、一度漏洩してしまうと取り返しのつかない事態に陥ってしまいかねません。今回紹介したセキュリティ対策はあくまでも誰にでもできる基本的なものばかりなので自宅を定期的に留守にする場合は必ず実行しましょう。