子どもと親で、ネットの危険認識にギャップも
子どもをあやしたり家事の時間を捻出したりするために、YouTubeの動画を見せておく――現代の子育て家庭では、あたりまえの1コマです。物心つく頃になれば、1人でスマホを使いこなす子も少なくありません。昔でいえばテレビ、漫画、ゲームと同じように、子どもたちはいつの時代も、いちはやく新しいメディアに触れたがります。一方で子どもたちにインターネットやスマホをどれだけ使わせて、どう制限すれば適切なのか、付き合い方について迷いながら日々を過ごしている保護者の声が大変大きくなっています。
マカフィーがMMD研究所と実施した調査では、子どもたちにスマートフォンを使わせることについて、親の不安の大きさが改めて浮き彫りになりました。たとえば乳幼児の母親からは、悪習慣の定着、健康への影響、よくないコンテンツを見てしまう可能性、また子供の予想外の行動による実害の発生など、乳幼児にスマホを使わせることによる悪影響を心配する回答が多く寄せられました。たとえ一時的とはいえ、小さい子どもにスマートフォンを触らせておくことに、どこか後ろめたい気持ちを持ってしまうようです。
中学生の親子を対象とした調査では、この年代までに4割強の子どもが自分のスマートフォンを持っていることが分かりました。中学生の子どもにスマホでやりたかったことを聞くと、LINEをしたかった、という声が最も多くなりました。一方で、親が持たせるきっかけとして挙げたのは、塾や習い事に通い始めた、という声が最多。親離れして行動範囲が広がる時期だけに、保護者は子どもを守りたいと考えている様子がうかがえます。そして保護者がインターネットやスマホの危険を教えたつもりでも、当人にはじゅうぶん伝わっていない様子も分かりました。中学生に「スマートフォンからもたらされる危険」をどうやって知ったかを質問すると、学校からとの回答が6割に対して、親から教わったという子どもは3割と、半分程度にとどまっています。思春期の子どもを守るための具体的な教育については、保護者が参加する余地があるのかもしれません。
最近ではSNSなどコミュニティサイトを通じた、児童買春、児童ポルノなどの性犯罪被害にあった子供が急増し、警察庁・文部科学省が警告を出すまでになっています。子どもたちがサイトで知り合った相手に誘導や脅迫を受け、自分の裸の画像を送信させられるといった犯罪が多発しているのです。また、ロシアや中国、インドなどではスマホに届くメッセージに従って行動するゲームが流行し、その果てに写真の流出や死傷する事件も起こっています。そうした危険をしっかりと伝えることも親の役目といえるでしょう。リスクとうまく距離をとっていくために、話し合いながら親子ルールづくりをしていくことが大切です。