最新技術で進化する、セキュリティの最前線
インターネットをより安心して使っていくために、どうやって十分な防御体制をつくっていくのか――。それこそがセキュリティソフト業界のテーマといえます。セキュリティソフト各社は、常に新たな脅威の手法を予測しつつ、対策や技術開発を行ってきました。
最新の脅威と戦うためには、最新技術の導入が欠かせません。最近ではAI(人工知能)やマシンラーニング(機械学習)といった技術が、さまざまな業界にイノベーションをもたらしています。囲碁・将棋が強いAIだけではなく、家電の自動制御や、異常を自動的に検出する産業用システムなど、既に社会のあちこちで活躍しています。これらはマルウェアを検知するうえでも大変有益な技術です。質・量がそろった既存マルウェアのデータベースがあれば、今後現れる脅威をより高い精度で予測できるようになる可能性があるのです。セキュリティソフト会社は長年にわたってインターネット上の脅威を分析し、過去から現在に至る膨大なマルウェア情報を蓄積してきました。その情報とノウハウを使って、未来のセキュリティ確保に生かそうという取り組みがスタートしています。
さらに会社の垣根を越えた、サイバーセキュリティ業界での連携も。互いのマルウェア情報や経験を共有して、あの手この手で攻めてくるサイバー犯罪者に対する侵入防御の強化・自動検出に役立てています。司法当局やITセキュリティ企業が連携したプロジェクト「No More Ransom」はランサムウェアの被害を減らすために大きな成果を残しました。今後は警備会社など、物理セキュリティとの連携も注目されており、従来にない防御体制がつくられていこうとしています。それはデバイスを保護するすぐれたセキュリティソフトと両輪といえるでしょう。セキュリティソフトについても、高度なセキュリティを担保しつつ、パソコンへの負担を減らして一層快適に使えるようにしていく取り組みがますます重要になっています。マカフィーは全ての処理をパソコン上で行うのではなく、クラウドでのマシンラーニングを活用した対策のバランスを保ちつつ、高パフォーマンスで、かつ検知率が高く、また誤検知が少ないマルウェア対策を目指しています。
従来のパターンファイルによるマルウェアの検知は有効な技術ですが、それだけでは防ぎきれない脅威が発生していることも事実です。より強く、より早く、より軽くデバイスを保護し、今後も改善を重ねながら進化し続けていくために。次回は引き続いて、マルウェアなど脅威の歴史の概略と、今後のマルウェア対策について探っていきます。