人気のスマートスピーカー、どんなリスクが?
スマートスピーカーの便利なところは、音楽を聴くにも他の機器と連動するにも言葉ひとつ。キーボードやタッチパネルに手を触れることなく、ハンズフリーで操作できるというところでしょう。Wi-Fiでインターネット接続していることで、ネットサービスや高度なAIの機能を利用することができます。また家庭内のIoT機器と連動したり、照明や防犯センサーなどと連携したりといった機能も既に実現しています。
ただしこうした最新機器は、サイバー犯罪者が目を付けるものであり、便利さは危険と隣り合わせといえます。スマートスピーカーに関する懸念点として、まずWi-Fiにつながっている以上、ネットを経由してサイバー犯罪者による乗っ取りに遭う可能性があるでしょう。不正なアクセスによって、スマートスピーカーが聞き取った家庭内の音声が盗聴されることや、外部からの遠隔操作で、家のロックを勝手に解錠されたり、IoT家電を壊されたりするかもしれません。さらに乗っ取られたスピーカーが「嘘」のニュースを教えてくれたら、信じてしまう人も多いのではないでしょうか。ネット経由の乗っ取りではなくても、持ち主以外の声に反応してしまう可能性も指摘されています。子どものままごとやテレビの音声を聞きとったスマートスピーカーが、誤ってネットスーパーに商品を注文してしまったらどうなるでしょうか。また特殊な条件のもとではありますが、人の耳には聞こえない帯域の音声を使って、スマートスピーカーを不正に操作する実験も成功したといわれています。
スマートスピーカーはまだまだ普及が始まったばかりで、今のところ大きなサイバー犯罪の被害は知られていません。また主要なスマートスピーカーは、通信の暗号化などに配慮しているといわれ、各メーカーともセキュリティには配慮しているようです。しかし今後スマートスピーカーが広まり続ければ、ネットにアクセスしたり、銀行口座の情報を保管したりするようになるとみられます。そうなればサイバー犯罪者の側も“スマートスピーカー対策”にいっそう力を入れ、予想もしない手口を思いつくかもしれません。できる用心は、しておくに越したことはないのです。